免責事項

この文章では「IT勉強会」と「テックカンファレンス」という用語を意図的に使い分けています。

「IT勉強会」は、個人ないし企業が主催され、基本的に無料開催で、平日夜などに開催される技術共有の場と定義しています。

「テックカンファレンス」は、主に企業か実行委員会方式で開催され、無料あるいは企業からの支援金や来場者からのチケット代徴収され、1日を通して開催される技術共有の場と定義します。

また、この記事で書かれている法律用語および法解釈は、法律の専門家のレビューを受けて書かれたものではありません。

タダ飯目当てでIT勉強会に来る人がいるということですが

個人的にはそういうことをしている人に直接接したことががないんでアレなんですが(ただ名簿業者っぽい人とかあやしいセミナー勧誘の人には出会ったことがある)。

IT勉強会で振る舞われるケータリング目当てで、技術のキャッチアップなど無関係にIT勉強会に潜り込む人が居るという話があります。

古くは2016年くらいから話題になっており1、コロナ禍を挟んで今日に至るまでイベント主催者間で話題になっている事案です。 その性質上、テックカンファレンスよりもIT勉強会が標的になりがちなようです。

参加費を徴収するテックカンファレンスの場合は、参加者から見るとチケット代に懇親会費が乗っていると見なせるので、このような行為に及ぶ利点が皆無ですが、 企業の採用費や広報費からケータリング費用が出ている結果として無料で参加できるIT勉強会の場合は、基本的には「行き得」ではありますね。 これまでは参加者の民度の高さでそういった問題が出てこなかったのですが、コミュニティ外の不届き者に目をつけられた結果なのかも知れません。

この問題の良くないところは、貴重な参加枠数がほぼ効果の見込めない来場者にとられてしまい、本来リーチすべき人にイベントに来てもらえなくなるということです。 これらはワンショットで見れば些事ですが、長期視点で見れば企業がコミュニティを支援しなくなるとか、コミュニティに新人が来なくなることへの先細りとか、まぁ色々悪影響は出るでしょう。

一方で、個人的には、connpassでまっとうに参加してくれている人が何を目的にしているかなど主催者が知りようもないので過度に問うてもしょうがないし、 ケータリングを提供している以上はタダ飯目的っぽい振る舞いをしてる人がいたとしても(品位や道徳を問う以外の)問題を問うのは難しいと思っています。

よって、これまで伝え聞いていたタダ飯目的の人物に対する議論は、それほど騒ぐほどの話でもないよね、と正直思っていました。 タダ飯目的の人物を嫌う主催者がいたってよいし、それに真っ向勝負で向き合うことも別に良いとは思います。ただ、僕の問題ではないなと思いました。

過激化するタダ飯目的の人物、スタッフの制止を振り切る攻撃的な事例も

IT系コミュニティをタダ飯狙いの不審者からどう守るべきか。あるイベントで発生した深刻な事案と提言 - Publickey

以前からもそのような事例はあったかも知れないのですが、直近で注目を集めたのはCNDT2023で起こった事案です。

事案の詳細はPublickeyの記事を確認して頂きたいのですが、挙げられている事案が一戦を超えているように思います。

  • “ニセのプレスの名刺を持ってイベントに入り込もうとした人物がいた” 2
  • “入口でスタッフの制止を押し切って強引に押し入る”
  • “追い出された後も再度侵入する”
  • “押し入って一直線に飯を強奪して逃げ去る”
  • “対処したスタッフを恫喝する”
  • “問題人物のところに駆けつけ、即刻退去を要求するも相手は応じませんでした”
  • “強制的に建物外に連れ出し、今後一歩でも踏み入れたら即座に警察を呼ぶと告げ、視界外まで追い払う”
  • “連れ出す際には激しい抵抗を受けました”

イベントの主催者に対する詐欺的な行動、暴力的な行動を取っており、普通に不法行為を問える行動ではないかと思います。

ここまで倫理観が欠如した人がIT勉強会をターゲットに出てくると、手間をかけて対策に乗り出す必要が出てくるだろうなと思いました。流石の私も態度を改めた。

ぼっち飯とタダ飯目的の人を区別するのは難しい、人の心は読めないのだから

いっぽうで、これらの議論に前後して、コミュニケーションを取りにくい気持ちを持つ人から、「自分たちがやむを得ずぼっち飯をしていることも対象・批判されているのではないか」という懸念表明がありました。

あらゆる人が言っていることですが、しょうがなくぼっち飯になっている人は、件のタダ飯目的の人とは目的が完全に異なるので、批判の矛先がまったく異なる。そこは安心して欲しいです。

しかし、その現場を第三者が見たとき、懇親会でコミュニケーションを取らずぼっち飯になっている人と、タダ飯目的の人物を区別するのは難しいと思います。 むろん常習犯で顔が割れているなら区別も付くかも知れませんが、全てのIT勉強会で情報が共有されているわけでもないわけです。

そもそも歓迎される客とされない人物の差が「技術を学ぶ目的で勉強会に参加しているか」という心情の話であるものの、それを外部から観測はできません。

よって、タダ飯目的の人物が憎くて過度で画一的な方針・対応を取った結果として制度設計を誤った場合、巻き添えを食ってしまう方は出てくるかも知れません。 また、そのイベントが行動規範を掲げていた場合は、その対応自体が行動規範違反になるという矛盾をはらむこととなります。

よって、何らかの対策を施すにしてもやり方はあるだろうと思いますし、メッセージの発信の仕方はあると思います。

余談ですが、これまでのSNS上での議論においては「タダ飯おじさん」という雑な名付けのせい3もあって、間違った層に杞憂を抱かせるという意味でメッセージの発信がうまくいってなかったようにも個人的に見受けられます。

イベントの有料化、手間をかけた結果として「せこいヤツ」には効くが悪意を持って踏み込んでくる連中には効かない

このような問題があがってきた場合、イベントの有料化を提案される方も居ます。

それが容易く実現できるのであれば良いアイデアではあるんですが、他人からお金を得るという行為は収入になるので、税処理が必要になります。

IT勉強会であれば個人か主催企業の誰かの雑収入か事業収入とする必要がありますし、テックカンファレンスだと法人格(一般社団法人など)が受け取り手となって税処理をします。 その事務手続きは継続的に行われるイベントならともかく、継続してやらないかもしれないイベントだとちょっとめんどいかも知れません。

あとはチケット販売プラットフォームが基本的に法人を相手にしているので、最低でも個人事業主じゃないとPayPalの入金口座がないので、軽いノリでやれないかも知れない。最近はインボイス制度もあるので、会社の経費でイベント参加したい場合に領収証を切りたい人とかもいらっしゃるので、なおのこと大変かもしれない。

デポジット制度を提案される方も居ますが、お金の流れとして一度誰かの懐に入ればそれはその人の収入となるので、単に税金分損をするだけなんですよね。そもそも不届き者は現場には来るのだから、実はいちばんマズいやり方かもしれない。

そんなわけで、そもそも参加費をとる前提のテックカンファレンスならともかく、個人の寄り合いで運営しているIT勉強会で参加者から金銭を徴収するのはなかなか大変であるよ、ということを共有したいです。

そもそも、今回の事例ではスタッフの制止を振り切って問題行為に及んでいるという話もあります。 こうなると無料だろうが有料だろうが関係がないので、有料化は万能薬ではないということをご理解頂けたらなと思います。

ただ、有料イベントで制止を振り切っている場合は「不退去罪」だけでなく「詐欺罪」が適用される可能性があり、 確実性が高ければ現行犯逮捕が可能な犯罪であると考えられるので、罪を重ねることになるから抑止力は高そうな予感はします。

警備員を派遣せよという意見、そもそも警備員はイベントスタッフと法的にはそんな変わらない

注意: ここで色々と偉そうに書いていますが、私は今の時点で警備員を依頼したことがありません!

更によく提案される話としては警備員の派遣です。

それなりにかかりそうな費用面の話についてはいったん置いとくとしても、警備員を雇って玄関に置いとけば万事解決という話ではなく、どういった役回りなのかをきっちり定義しておく必要はあります。

そもそもとして法律上、警備員に与えられている権利は一般人と変わりがありません。なので警察だと権利を有している職務質問などは出来ないです。

唯一異なることは、都道府県公安委員会に届け出をされた警備業者から派遣された警備員は、必要に応じて警棒などの護身用具を装備することが許されているということです。

また、警備員には1号警備から4号警備まであります4。 テックカンファレンスだと施設警備の1号警備、脅迫などを受けていて身の危険がある場合は護衛などを担う4号警備(と場合によっては警察?)を依頼することになるのかなと思います。 確証はないのですが、雑踏警備を担う2号警備だと業務に不要なので誤審用具の所持が禁止されているという話もあるそうです5

一般人も警備員も、刑法の正当業務行為での侵入阻止、正当防衛、緊急避難、刑事訴訟法の現行犯逮捕(話題の私人逮捕もこれ)が認められています。 ただし、一般人の場合は刑法で認められた範囲の制圧行為がどのくらいなのか難しく(実際素人判断でOKだと判断したものが裁判で違法判断されていることがある)、また私人逮捕を行うにあたって容疑者が抵抗することは想像に難くなく、それをイベントスタッフの一般人がうまく押さえ込むことは難しいです。

つまり、警備員を雇うということは、そういった事案に対する(護身用具や肉体という)ハードウェア、(厄介な事案への経験値や知識の高さという)ソフトウェアを金銭を対価に借りるということです。

それ以前に、単に置物としての効果、つまり警備員がいるということによる抑止力は期待できそうです。 ただし、我々側だけでなく不届き者も警備員に与えられている権限などを把握しているはずです。長期的に見てどのくらい効果があるのかと思案します。

いったん脇に置いた警備員派遣の費用面の話ですが、一人当たり1日2万円くらいが相場のようです6。(現場毎に有資格者は必ず一人は必要) まぁ、テックカンファレンスなら出せそうだなって感じはあります。IT勉強会だと誰がその費用を持つのかという話があります。そもそも警備業者が個人を相手に取引してくれるかもちょっと怪しい。 加えて近年の人手不足も相まって、価格が高騰している可能性と、そもそも派遣して貰えるか怪しいということもありそうです。

いづれにせよ以上の点を捉えなければ、極めて割高で融通の利かないイベントスタッフにしかならなくなってしまいます。 もちろん、スタッフが誰も持っていないものを金で雇うという考え方自体は否定しません。ただし、何のために警備員を雇うんだっけ?という目的を明確にしないと期待外れに終わることもあるだろうと考えています。

警察は予防的に動くことはほぼない、しかし被害届くらいは出しましょう

注意: ここで色々と偉そうに書いていますが、私は今の時点で1度も警察を頼ったことがありません。

警察への通報などを提案される方も居ます。まぁ提案される以前に主催者も恐らくそんなことは百も承知でありましょう。

まず、警察官がイベントに張り付いてもらうようなことを提案される方がごく少数いらっしゃるのですが、 警察を何だと思っているのか、それこそ警備員と勘違いしていると言わざるを得ず、 殺害予告などがあれば別ですが、そういうのは救急車をタクシーみたいに使う人と同じなんじゃないかなと思っています。

事件にもTierがあって、暴力行為は迅速だけど被害金額の低い行為は微妙な反応だったりすることは想像に難くないでしょう。 メシが盗られたくらいだと被害額がしょぼいので腰が重くなるのもむべなるかな、という感じです。

ただし、警察から見れば通報や被害届の提出がない事件は、発生していないのと変わりないので、極めて悪質な事案については被害届の提出くらいはしておくべきだと思います。個人的にはCNDT2023で起きた事案は少なくとも警察に相談に行かれた方が良いのではと思っています。

「民事不介入」という言葉が有名で、警察は民事事件に介入しないという認識が一般的ですが、最近はストーカーなどのつきまとい行為からの殺人事件に発展するなどの対応がマズくて警察がバッシングされることがある為に、意外と臨機応変に対応してくれそうだ、という話もあるようです7。 本件では「タダ飯被害そのもの」よりも「不退去行為からの食い逃げ(詐欺か窃盗)、更に暴力的な危害の恐れ」が深刻なので、それらをアピールした方が良さそうに思います。

警察への連絡も、まずは #9110 などで相談をし、場合によっては所轄警察署の生活安全課を訪ねると良かろうと思います。 立件を望む場合は証拠を揃えること、理路整然とした説明が求められます。公権力がスムーズに動くための簡潔かつ説得力のある説明をするということです。

また、立件とならなくとも被害届自体は受理されているために示談交渉の説得材料になるという話もあります(まぁ相手が分かっていたらの話ですが)。8

余談ですが、Publickeyの記事で草間氏の警察に対する考え方が比較的ナイーブめに見えたのですが、 法治国家において違法行為が疑われる事象について、公権力へのアピールプレイをしない態度は長期的に見て不利に働くのではないかなぁと憂慮しています。

傍観者効果、というよりもいまのIT勉強会の構造では主客の関係が染みついてしまっている

Publickeyでの草間氏の寄稿文では「傍観者効果」について言及があります。

“傍観してしまった人を責めるのは意味がありません” という文もあるので僕もそこは強く念押しするのですが、 しかし残念ながらどのように考えても来場者からのフィードバックや予防効果は期待できないと僕は考えています。

まず、いまのIT勉強会はコミュニティが支える互助会ではなくて、企業の営利目的のイベントに招かれている客、主客の関係になっている構造があります。 だから今のIT勉強会の参加者は、お互いに支えて助け合うのだという考えがそもそも薄いんじゃないかなーって思います。 よって、何かあってもイベントスタッフがなんとかしてくれるだろう、スタッフの指示に従おう、という考え方になっていると思うんですよね。

これは僕も経験があるのですが、何かを成すために集まり各々が目標に向かうために必要な作業を能動的に分業してコトに向かうときは問題になりづらい(ただし非効率)のですが、効率を高めるために分業制を敷いて人に役割を担わせたときに、その役割にない人はその業務をわざわざ触りに行かないんですよね。それはその役割の人を出し抜いて動くわけにはいかないというところもあるかなと思います。「来場者」と「スタッフ」という区分も、そういう構造にあるように見受けられます。

僕も現場ではこのような「お願い」をすることは多々ありますが、それで助けて貰ったら「ありがとう!」「ラッキー!」と感謝することはあれど、それ以上の効果を期待してお伝えすることは、自分の考え方ではちょっと出来ないな、と思っています。

行動規範、用意するだけでなく周知してしっかり運用する

残念ながら、IT勉強会に来る方の全てが親切でフレンドリーで分別が付き善意のもとに行われるという牧歌的な時代は 終わった とみなしてイベント設計をすべきです。

行動規範の策定は当然のこととして、それを守らせる周知をする、そのために申込時に同意をさせる。 それだけでなく行動規範を逸脱する行動があった場合にどのように対応するかをイベントスタッフで話しあい、しっかり履行されるべきです。

ただし、行動規範はイベントのローカルルールであり、出来てせいぜいイベントから追い出すことくらいしか出来ません(それでも一般的に流布している行動規範の効力は考えられる問題にだいたい対応できている認識です)。 それを遥かに超える不法行為については警察を頼ることになるので(主に主催者レベルでの動き方に関わるのですが)別の手順が必要になってくるでしょう。

迷惑行動には毅然とした行動をとりつづける

迷惑行為についてはIT勉強会やテックカンファレンスでは望ましくない行動であるとメッセージを出し続けることが必要です。

メッセージだけでなく、逸脱した行為には(程度の大小で伝え方は変わるにせよ)それは認められないとすぐに伝えることも大事です。

そして、残念ながら迷惑行為の改善が見られない人物については行動規範に則り退場処分などの判断を下す必要があります。

今回の件のようなそもそもコミュニティの内側にいない人物には行動規範などは通用しないと考えられます。 そういった方には行動規範よりも上位のコントラクトである法律で戦うしかないですが、やることは変わらないと考えます。

とにかく一貫した行動を例外なく履行すべきです。舐められたら終わりです。

Publickeyの記事での草間さんの寄稿文では、イベントが破壊されることを危惧し穏当な対応を選択したということで、その究極の選択を判断されたのは凄いことだと思いました。

ただし個人的には(人的被害は避けるべきことですが)あるていど被害があるほうが大ごとにしやすく公権力を動かしやすいと考えています。 なので、イベントが傷つくことも辞さず迷惑行為を排除するという強固さを示す必要もあると勝手ながら思います。

コミュニティの参加者においても、そういった事柄に対してNOを発信し続けたり、仮に大ごとになったとしても主催者を守る方向にいって欲しいなと思います。

過度に豪華なケータリングを提供することや配布方法を再考する

この記事のコンテキストのなかでこれを言うのは暴力的な行動に屈するように見えるのですが、 一旦本件と切り離して考えたいこととして、昨今のIT勉強会のコストが過度に高まっていることを考えたいです。

企業主催のIT勉強会の場合、広報費か採用費で費用が賄われることになってケータリングなどが調達しやすいのですが、 もしIT勉強会経由で人材確保ができた場合、転職エージェントに支払うフィーよりも圧倒的に安いために会社の予算が付きやすいのですね。 よって、コミュニティの多くの人々に集まって貰うため、優秀な方に来てもらうため、参加者の満足度を高めるために、(あと他社より豪華であるアピールなんかもあるのかな、)豪華なケータリングが出るようになったのかな、と近年10年ほどの歴史を思い返しています。

ただその結果として全体的なIT勉強会の「あるべき像」がインフレを起こして、「ケータリング提供をしなければいけない」「飲み物を出さなければいけない」となっている状況はありそうに見えます。

僕は、サービスを受ける側と提供する側の関係は、適切な対価(金銭が考えられるがそれに限定されない)が直接やりとりされる関係であるべきだと考えており、そうでない活動は短期的にうまくいったとしても長期的には持続不可能だという思想を持っています。 よって、ケータリングを無償で受け取れるというのは(企業側の宣伝目的やその活動に使用する為の参加者の個人情報の提供などがあったにせよ)いびつな関係であり持続可能ではなく、そのいびつさを不届き者に狙われているのだと僕は捉えています。

また別の視点として、そもそもIT勉強会の基本に立ち戻るとIT技術情報の共有のために集まっているわけで、懇親の促進のための食べ物飲み物が効果的だという主張を否定するものではないですが、企業の広報活動としてIT勉強会が提供されているが為に「技術の共有」よりも「ケータリングの豪華さ」が上回るという、主従が逆転している傾向はあるので、いまいちどIT勉強会って何のためにやってるんだっけ?を問うことも必要かと思います。

(主従逆転の補足をすると、共有される技術はイベント毎に「水物」であり、人によって有益度が変わってくるので、「イベント単体でみたバリュー」はある程度頭打ちになるのですが、ケータリングやノベルティはお金をかければかけるだけ良いものが提供できるので「バリュー」が青天井になるという意味で使っています)

そのためには、ケータリングは厳しく一人1つという制限をするとか、そもそもイベント内での豪華な懇親会はせずに飲み物だけにして任意参加で近所の居酒屋で有志でお金を出し合って懇親会をするとか、エンジニアコミュニティのもつ「IT勉強会のケータリング」の「バリュー」を意図的にダウングレードさせる時期なのではないかなと思う次第です。

最後に

IT勉強会のタダ飯目的の人物への対策と課題を多角的に洗い出してみたけど、まぁ大変っすね。いや、コミュニティへの同情という意味だけでなく、この文章を書くに当たって法律などを引くハメになる自分自身へのねぎらいも込めてですが。

それはともかく、これらの金銭的・肉体的・精神的なコストはすべてエンジニアコミュニティに乗ってくるわけです。単にIT勉強会の参加費が上がるってだけじゃなくて、こういう厄介事を忌避してそもそもイベントを開催しないとか、社内や付き合いの企業限定でのクローズドなイベントに閉じてしまうことになる。でもそうなってもタダ飯目的の人物はおそらくコミュニティ外の人物なのでどうも思わないわけで、そこがちょっとやるせない感じはします。ハラスメント排除やダイバーシティ推進はコミュニティを成長させた問題だがこれはコミュニティを成長させない問題です。

だからこそ僕は本件をしっかり立件・事件として成立させるべきだと思っています。まぁ書いたとおりこちらもタダで済まないのですが、そうじゃないと文化を喪うことになる気はします。 SNSなどで共感を広げていって考えを改められる相手はある意味で理性的ですが、本件は理性のある相手に見えないのですよね。すべき対応を粘り強く粛々とやっていくことが重要ではないでしょうか。

・・・まぁ僕は当該人物を見たことがないので好き勝手言えているのですが、というオチで締めたいと思います。

参考資料


  1. エンジニアイベントを初主催。そして事件は起こった | 株式会社スペースマーケット 2023/12/21閲覧. ↩︎

  2. この人物と、以降の制止を振り切った方は同一人物ではない可能性がある ↩︎

  3. 「タダ飯おじさん」という蔑称は、そもそもタダ飯目的の人物は(最初にやり始めたのがおじさんだったとしても)年齢や性別は本来関係がないので、狭い身内で呼ぶならともかくコミュニティを代表する意見としてはその言葉を取りあげづらいです。本記事でも一貫して「タダ飯目的の人物」などと呼称するように努めています。 ↩︎

  4. 警備業とは? | 一般社団法人 全国警備業協会 2023/12/21閲覧. ↩︎

  5. 警備員って何か特別な権限は持っているのですか?例えば業務中はある... - 教えて!しごとの先生|Yahoo!しごとカタログ 2023/12/21閲覧. ↩︎

  6. 【交通誘導警備を依頼したい】料金の相場はどれくらい?|名古屋の警備会社 セキュリティスタッフ株式会社 交通誘導 駐車場整理 ガードマンならお任せくださいおまかせくださ ↩︎

  7. 動かない警察に"確実に"動いてもらう方法 「民事では動かない」は過去の話 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) 2023/12/21 閲覧. ↩︎

  8. 怪文書や嫌がらせ被害で警察は動いてくれる?警察以外の有効な相談先 - 2023/12/21 閲覧. ↩︎